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    超早食い中華ランチ

     

    1日1日と、まるで薄皮を剥ぐように、マラソンによる筋肉痛が薄らいできた。

     

    人間の身体とは、つくづく不思議なものだと思う。

     

    生まれて初めて100kmマラソンを走った後は、ほとんど寝たきり状態になってしまい、布団から起き上がるのも大変。まるで赤ちゃんのようにハイハイしながら、夜中にトイレに行ったことを覚えている。

     

    続いて、富士五湖117kmを完走した時は、レース後ほぼ3日間、家の中を富士山登山の時に買った金剛杖にすがって移動したものだ。

     

    ウルトラマラソンを始めて4年経った今、さすがに筋肉痛にはなるものの、レース翌目には(よぼよぼだけど)歩けるし、2日目にはテニスができ、3日目にはジョギングを再開できている。

     

    自分でもはっきり差がわかるのが、階段の降り方である。

     

    レース直後は半歩づつ、これまた幼児のように一段づつ両足で降りていたのが、3日目にはトントンと片足で降りれるようになる。

     

     

     

     

    レースを終えて3日目の水曜日、朝から満員電車に揺られて蒲田へ出勤した。

     

    お昼は、精のつくものを食べよう。

     

    そう思って蒲田西口商店街をさまよった。

     

    何を食べようか。

     

    カツ丼は、早速月曜日に食べたし。

     

    スパゲティーは、火曜のランチにテニス仲間と食べた。

     

    となると、ステーキかうなぎか?

     

    そういえば、蒲田には昔からの寿々木という鰻屋さんがある。

     

    ただし、値段表を見れば、一番安いうな丼でも1,950円。

     

    うな重になると3,000円。

     

    さすがに、ランチの3,000円は、サロマ湖遠征で散財した後の月末の財布には厳しい。

     

     

     

    結局、(精がつくかはわからないが)いつもの中華料理店へ入った。

     

    ここは、お昼時はサラリーマンで一杯である。

     

    いつもの席で、いつもの注文となれば、いつもの「青椒肉絲丼」である。

     

    たっぷりの油で炒めた中華丼と、羽根つき餃子のセットで700円。

     

    席に座って5分も経たないうちに注文した青椒肉絲丼が運ばれてきて、それをわずか10分で食べ終えた。

     

    お茶を飲んでいる間に、お皿を下げられて、急かされるようにお勘定を済ませるまで、わずか20分。

     

    10時間以上もかけてウルトラマラソンを走った後で、ランチに20分しか掛からないのはどういうことか。

     

    もっとゆっくりと時間をかけて、よく噛んで食べなければと思うのだけれど、子どもの頃からクラス一番の早食いで、ご飯をゆっくり食べたことなどないのだから仕方ない。

     

    そうやって、一人の人間の中で、たっぷりとした時間とせかせかした時間が共存しているのだから面白い。

     

     

     

     

     

     

    | 座付き作家 | 雑記 | 06:30 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
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      マダム・ベー

       

      昔のテレビCMで「マダム・ヤン」というのがあった。

       

      確かインスタントラーメンの商品名だったと思うのだが、お笑い芸人のネタにもなっていたと記憶する。

       

      この映画、題名を「マダム・ベー」という。

       

      映画館の受付でチケットを購入しようと、「マダム・ベーを一枚お願いします」と口に出した時に、何となく恥ずかしさを感じたのは、その「マダム・ヤン」が脳裏をよぎったからに違いない。

       

       

       

       

      映画『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』は、しかしながらギャグでも何でもなく、ある脱北者の極めてシリアスなドキュメンタリーである。

       

      北朝鮮での貧困から抜け出そうと、中国へ出稼ぎに出たつもりの妻が連れて行かれたのは、田舎の農家の嫁としてであった。

       

      要は、人身売買組織に騙されて、中国人の嫁として売られたのだ。

       

      我が身の不幸を嘆きつつも、その女性は自分と同じような目にあう北朝鮮からの脱北者を国外へ逃す違法ブローカーとなり、稼いだお金を北朝鮮に残してきた家族へと送り続ける。

       

      女には、二人の息子がいた。

       

      女は、息子たちを北朝鮮から脱北させ、韓国へと送り込んだ。

       

      そして、自分も息子たちの後を追って、韓国へと向かうのだが、その過程に密着したのが本映画である。

       

      パスポートを持たない脱北者たち。

       

      もちろん途中で捕まれば、大変なことになる。

       

      高額な手数料を支払い、まずは中国国内を車で昆明へ。

       

      そこからボートでメコン川を渡り、ラオスへ。

       

      ラオス国内を経て、タイへと入り、ここにある脱北者の収容施設へとたどり着く。

       

      ここで韓国への亡命申請を行い、審査を経て許可が出れば、無事に韓国へと入国できるのだ、

       

       

       

      北朝鮮と接する韓国へと向かうのに、はるばる中国、ラオス、タイを経なければならない現実。

       

      万一、途中で監視者に見つかれば即刻逮捕、強制送還だ。

       

      女は、先に韓国へと渡った息子がいるおかげで、わずかな審査期間で韓国へと向かうことができた。

       

      しかし、そこで女を待ち受けていたのは、予想を大きく裏切るものだった。

       

      中国にいた時に、女が薬物売買をしていたことが判明し、韓国情報省による厳しい尋問が行われた。

       

      その結果、女には何の支援も与えられず、居住許可もおりない。

       

      狭い部屋に、二人の息子と、北朝鮮から脱北してきた元夫との4人暮らし。

       

      元夫は、北朝鮮のスパイ容疑がかけられ、今も監視下に置かれ、職につくこともできない。

       

      女は、こんなはずではなかったと嘆く。

       

      元夫とは口もろくにきかず、中国に残してきた中国人の夫と再び一緒に暮らすことを願っている。

       

       

       

       

      北朝鮮と韓国の経済格差、そしてそれによる南北統一の難しさを、この一人のマダム・ベーという女性を通して、赤裸々に物語る映画であり、「マダム・ヤン」のCMとは似ても似つかぬ厳しい現実を見せられる。

       

      | 座付き作家 | 映画の感想 | 05:27 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
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        サロマ湖の反省

         

        北海道のお土産は、全身の激しい筋肉痛。

         

        レース直後は考えたくもないと思っていたものを、1日経って、気がつくと今回のレースを振り返っている。

         

         

         

        今回、一番感じたのは(当たり前だが)北海道のだだっ広さだ。

         

        100キロマラソンではあるけれど、僕の感覚としては「kmの単位ではなく、mileの間違いでした」という感じなのだ。

         

        「道理で、距離が長いと思った」

         

        そんな感想が漏れてきそうなほど、感じた距離感はいつもと違う。

         

         

         

        基本、コースは北海道北見のサロマ湖をぐるりと回るものだ。

         

        サロマ湖は、湖と言っても砂州によってできたもので、一箇所途切れている部分があって、そこでオホーツク海に繋がっている。

         

        湧別町をスタートして、サロマ湖の砂州の突先で折り返して、サロマ湖をぐるりと回り込んで佐呂間町から常呂町へ。

         

        サロマ湖に沿って延々と走っていくと、もう一方の砂州が見えてくる。これがワッカ原生花林。

         

        よく、「疲れ切ったランナーを、ワッカの花が優しく出迎えてくれる」とか言われるが、嘘嘘。

         

        なにせ吹きっさらしのワッカ原生花林を延々9キロも走って行って、折り返してくるのだ。

         

        一体、どこまで行かせるつもり?

         

        あの時、ワッカの途中、85キロ地点でGPS時計を見たら積算「8時間半」だったのだ。

         

        つまり、残り15キロを1時間半(キロ6分ペース)で走りきればサブ10(*100キロを10時間以内に完走すること)達成だったのだ。

         

        生まれて初めてのサブ10?

         

        「まさか?」

         

        「え?もしかして行けちゃう?」

         

        ところが、おもわぬところに落とし穴があるのが人生。

         

        ワッカの折り返しまで水たまりをザブザブ、ものともせずに走って行って折り返して、残り10キロ。

         

        ここからが全然ダメだった。

         

        道端で、低体温症でリタイアするランナーがゴロゴロ倒れている。

         

        真っ青で震えているランナーがいる。

         

        その脇をなんとか4キロほど走ったところで、なぜか突然気持ちが切れてしまったのだ!

         

        それも、医療スタッフが待機している場所で突然のストップ。

         

        「リタイアしますか?」

         

        と言われたが、さすがに残り5〜6キロでリタイアするわけにはいかない。

         

        「ちょっと休ませてください」

         

        そう言って、雨で濡れたベンチに座らせてもらい、医師からOS1(生理食塩水)をもらって一気に飲み干した。

         

        目の前をどんどんランナーが走りすぎていく。

         

        そのまま、雨の中で休むこと5分。

         

        これで体力を回復して、残りを走りきればまだサブ10も夢じゃない。

         

        そう思って立ち上がったのだが、なぜか足に力が入らない。

         

        そこからは、走っては歩くことの繰り返し。

         

        なんと3キロ近くも歩き通してしまったのだ!(その間30分以上経過)

         

        なんという弱さ。

         

        自分が嫌になる。

         

        もう一度やり直せるなら、あの場所からやり直したい。

         

        残り3キロの表示を見て、さすがにもう歩いていられなくなり、ゴールに向かって、ひたすら走り続けてのフィニッシュ。

         

        先ほどまでは、「もう走れない」と思っていた足は、痛みもなく前に出るではないか。

         

        そして、ゴール地点へ。

         

        時計は10時間22分!

         

        つまり、ラストの3キロを我慢して走っていれば、おそらく10時間ギリギリでゴールできたはずなのだ。

         

        これまで自分とは縁がないと思っていたサブ10。

         

        年々、歳をとって走るのがしんどくなってくる中、もう二度とないチャンスだったのかもしれないのだ。

         

        あれさえ我慢できていれば・・・・・・・・・・・・・

         

        記念メダルの重さが、今回ばかりは僕の心の弱い部分にズシンとのしかかってくる。

         

        今は、その部分がただただ重い。

         

         

         

        | 座付き作家 | ランニング | 06:24 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
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        【お知らせ】けんぞー武者修行#1「ノート」公演
        前作「南瓜」から1年半。今回から"けんぞー武者修行"と銘打って、役者・建蔵が可能性を広げるべく挑みます。 第一弾はなんとピアニスト糸井恵理子さんをお迎えして、フランツ・リスト他の演奏とのコラボレーション。 どんな舞台になりますか、乞ご期待。 「ノート」公演概要 2014年4月5日(土)14時/18時 開場は30分前 両国門天ホール 前売り2,800円(税込)当日3,000円(税込) 出演:建蔵 糸井恵理子 作・演出 平岩モトイ ご予約:amd.ara@ezweb.ne.jp (折り返し確認メールが行きます)
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