0
    こまつ座「芭蕉通夜舟」
     

    明日が千秋楽という「芭蕉通夜舟」を、紀伊国屋サザンシアターに観に行ってきました。

    井上ひさし 作
    鵜山仁 演出

    「独りで暮らすことを最上とした」芭蕉の人生を、その言葉のままに「独りでいる場面」を36景ならべて構成したもの。

    芭蕉を演じる坂東三津五郎の独白に加えて、黒子役の4人が時に物語を語り、小道具を操作していく演出。36景の場面転換があるというので是非観たかった作品です。けんぞーしゅーぞー「南瓜」も9場あり、各場を結局のところ暗転でつなぐという工夫のない演出をしてしまったばかりで、他人の演出が気になっていたところ。

    36景はそれぞれ芭蕉の人生を時間軸に順に紹介されていきます。最初は19才。ひょんなことから俳諧の才能を見いだされ、のちの俳人となるまで、それぞれ短いエピソードで見せていきます。だ洒落あり、寒いギャグもあり。面白い場もあれば、笑えない場もあるのは当然の事。ともすると単調になりがちな構成を、雪隠にしゃがみ込むという奇天烈な場面でつないでいるのはさすが。しかも雪隠があっという間に文机になり、奥の細道へ向かう時には旅装の背負子になるという演出で、思わず「うまい!」と唸る。36景のうち、雪隠のシーンを「便座」と称して、4回(?)も出てくるのが面白い。なんといっても歌舞伎の大スター三津五郎が客席に向かって、和風便座にまたがって、うんちんぐスタイルで語るのです。受けない筈がない!客席の7割は中高年の女性で、このうんちんぐスタイルが出る度に、あっちでもこっちでもどっと笑い声が上がる。

    それにしても三津五郎のよく通り淀みのない口跡ぶりの見事なこと。やはり独り芝居というものは、確かな語りの技術があって初めて出来るものなのだろうか。2時間の一人芝居を黒子の説明台詞を挟みながらも、たった独りで語り切り、観客はその語りに酔いしれました。

    なんともあっさりとして、それでいてずっしりと手応えのある舞台でした。




    | 座付き作家 | 南瓜 | 18:10 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
    0
      作演としての総括
       

      三田村さん、建蔵さんがそれぞれに、「南瓜」のことを書いておられましたが、あれから一週間が経ち、私も自分也の「南瓜」を総括しなければなりません。

      で、「空豆」から数えて4作目となった「南瓜」で、作者である私は何を試みたのか?

      前作「白菜」で初めて三田村周三、建蔵という2人の役者だけの芝居が作れたように思いました。つまり小津風だの何風だのという万能調味料は不要の、いわばスケルトン状態の芝居。舞台にいるのは2人の役者だけ。セットもない。余分なものはない。文字通り三田村周三、建蔵という役者を見ていただく芝居。しかし、「白菜」は男性層には受けた反面、女性陣にはいまいち受けがよくなかったのです。「むずかしい」「実感がない」などの感想をいただき、しばらくの間、演出意図とお客さん(特に女性層)の感想のギャップに悩みました。

      今回「南瓜」をスタートするにあたり、男女共に受ける題材にすること、現代ならではの題材にする事を課して、ベッドシェアリングを選びました。2人が激突、丁々発止とする場面が観客に受けることは判っていましたが、問題はそこに至るまでのストーリーです。ベッドを昼夜で交互に使うためには、夜働く男、昼間働く男という設定が無理がないように思いました。ただ、説明台詞を極力省きましたので、彼らの職業が若干理解されなかった印象は残りましたが。こうして、昼と夜の場面が交互に続く構成が出来上がりました。問題は場面転換でどうしても暗転が多くなることです。ここは多いに反省すべきところです。

      そこにさらに、今回は「さよなら門天ホール」というお題が加わりました。門天ホールを使うのはこれで最後ということで、ならば今までやらなかったことをやってやろう。それが、三田村さんのブログにも書かれておりましたが、いつもは邪魔者扱いだったピアノを生かそうというプランです。

      ピアノを使って、対立する2人。これで話はある程度作れます。実は最初に書き始めたのは、引っ越し業者の三田村さんと、ピアノを処分したい建蔵さんという設定。ご存知のようにピアノは簡単には運べませんから、そのあたりを書けば面白いのではないかと思ったのです。

      ところが、今回は前作から半年時間がありましたので、書き進めるうちに「まてよ。もっと別のものがあるんじゃないか」と思いはじめ、「せっかくならピアノを小道具として使うんじゃなくて、ピアノを弾くほうが面白いんじゃないか」と、いわば考えすぎてしまったのかもしれません。

      こうなると、突然ピアノを弾き出すという演出がしたくなります。それまで邪魔な小道具のように置かれたピアノが突然に弾かれる。そんな演出をクライマックスに持って行こう。

      事実、ピアノのシーンは、概ね好評で、「ジーンとした」というようなご感想を多数いただきました。三田村さんのとつとつとしたピアノ。建蔵さんが三田村さんを見守るように歌う。なかなか微笑ましいシーンです。しかしながら、このシーンがお二人に過度の負担を強いたことも事実のようで、結局2ヶ月ほど稽古を重ねたにも関わらず、本番でなんとなくうまく行ったのは1回でした。成功率20%。これではお金を払ってお客様にご覧いただくものとしては失格ですよね。そんな無謀なことを狙った私はまたも演出失格です。ある人は言いました。「だって1800円だもの」と。でも、実際に受付に立っていますと1800円を支払っていただくのは大変な事です。通常の芝居が3500円だから我々は半額程度の芝居でいいということにはなりません。1時間、2人の役者が命がけで演じる芝居。それが1800円であろうと3500円であろうと、観客が期待するのは同じだと思えるのです。

      その意味でいえば、確かに「さよなら門天ホール」公演だけに、ピアノにベッドに南瓜、ストロボ、ブリキの兵隊さんと、これまでより大幅に見所を増やしました。しかし、そのどれもが効果的に一本の糸のように集結しなければ意味がありません。その意味でピアノのシーンの出来の悪さは弁解の余地すらありません。1800円の価値があったのかどうか?そう問われると残念ながら胸を張ることができません。

      そんなこんなで、「南瓜」の至らないところは、作者にして、また名前だけの演出ではありましたがすべてこの私の未熟さによるものです。大きな反省を持ちまして、けんぞーしゅーぞーの幕を下ろすことにしましょう。役者は一生懸命にやりました。

      1年間に亘り、ご声援ありがとうございました。

      平岩モトイ





      | 座付き作家 | 南瓜 | 11:04 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
      0
        南瓜を終えてホッと

        南瓜の公演が無事に終わり、つかの間の祭りが終わった後のような気分を味わっております。

        今回は3日計6公演を行いました。当初出足が鈍く、動員が心配されましたが、蓋を開ければ満席に継ぐ満席で、お客様を桟敷や、何度かは立ち見をお願いすることになってしまい、心苦しい限りでした。特に女性のお客様は最前列の座布団席は敬遠される事が多くて、立っていますとおっしゃり、演出の私と並んで入り口扉の前で一時間お立ちいただきました。

        ここは全てが見え、また、お客様の反応も伺える場所。クスクス笑う方。ニヤニヤされる方。肩を揺すって笑ってらっしゃる方。そんな反応を見ると嬉しいし、全く反応がなかったり、居眠りされているお客様を見ると、自分の力不足を嘆きたくなります。特に昼の回は暑かったこともあり、汗だくだくでお着きになったお客様にしてみれば、涼しいのと暗いのとで、ついウトウトされるのでしょう。かく言う私も同じように居眠りする事はしょっちゅうで、映画ではほぼ100パーセント居眠りします。私の知っているある映画会社の宣伝マンは、居眠り防止のためにひたすらキャラメルポップコーンを食べ続けるそうです。

        現に、先日見た三谷幸喜の「其成心中」でも、天ぷらやのくだりでウトウトしちゃいました。

        さて、公演を終えて役者がどう感じているかは、役者の回に任せるとして、演出として今回のピアノについて一言書かせていただく事にしましょう。今回の南瓜で、是非やっておかなければと思ったことの一つにピアノがありました。ご存知の通り門天ホールには立派なピアノがあります。いつもは邪魔なこのピアノを、最後の公演にあたり何とか使えないか。それがああいう形になった訳です。ご想像通り役者のお二人はピアノが弾けませんので、本を書く前からピアノの練習をお願いしました。建蔵さんからは、当初ミュージカルをやりたいと言われましたが、その話に乗らなくてよかったなぁ、と思っています(笑)

        | 座付き作家 | 南瓜 | 07:12 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
        CALENDAR
        SMTWTFS
             12
        3456789
        10111213141516
        17181920212223
        24252627282930
        31      
        << December 2017 >>
        PR
        SELECTED ENTRIES
        CATEGORIES
        ARCHIVES
        RECENT COMMENTS
        RECENT TRACKBACK
        【お知らせ】けんぞー武者修行#1「ノート」公演
        前作「南瓜」から1年半。今回から"けんぞー武者修行"と銘打って、役者・建蔵が可能性を広げるべく挑みます。 第一弾はなんとピアニスト糸井恵理子さんをお迎えして、フランツ・リスト他の演奏とのコラボレーション。 どんな舞台になりますか、乞ご期待。 「ノート」公演概要 2014年4月5日(土)14時/18時 開場は30分前 両国門天ホール 前売り2,800円(税込)当日3,000円(税込) 出演:建蔵 糸井恵理子 作・演出 平岩モトイ ご予約:amd.ara@ezweb.ne.jp (折り返し確認メールが行きます)
        MOBILE
        qrcode
        LINKS
        PROFILE
        このページの先頭へ