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    張ち切れパンダ「私のいる、宇宙」

     

    師走の下北沢に、張り切れパンダ公演「わたしのいる、宇宙」を観に行った。

     

    パンフに作演の梨澤さんが書いているように、11回目となる本公演のテーマは多元宇宙。

     

    「15才と30才の私」で劇場空間に時間軸を持ち込むことに成功したパンダだけに、今回の多元宇宙というテーマは悪くない。

     

    ただ、その表現方法に若干の課題も残ったのではないかと思う。

     

     

     

    舞台は大きく分けて3幕構成。

     

    第一幕は父子家庭における父親と娘の、いかにも現代的な会話劇。

     

    梨澤お得意の女子高生らしいセリフが冴えている。

     

    第二幕は一転して、斎場の親族控室。

     

    一幕で登場した父親の通夜に、遠い親族が集まってくる。

     

    そこに登場するガリレオ風な物理オタクの青年が、今回の作劇のテーマを語り続ける。

     

    我々の世界に隣接するさまざまな世界があるという多元宇宙論である。

     

    このSF的なコンセプトが、舞台上では娘の死と父親の死という正反対の2つの通夜が交互に現れるという芝居となって現れる。

     

     

     

     

    非常に興味ふかいテーマ、ではある。

     

    が、この正反対の設定によって、揺さぶられる気持ちも次々と切り替えられてしまう。

     

    父親の死によって一人残された娘への同情という気持ちが、次には娘を亡くした父親への同情へと無理やり転換されるのだ。

     

    多元宇宙論によって見せられる父親の死と娘の死が隣同士の世界。

     

    そのくせ、まわりの親戚一同の反応は、いずれもどうでもいいことばりで、通夜ぶるまいの寿司を取るの取らないのといった些細な物事に集中する。

     

    ある意味、通夜ものとしては興味ふかい作劇とも言える。

     

     

     

    劇団の座付き作家というもの、毎回、どんなテーマで何を書くのか、頭を悩ませる。

     

    パンダでいえば梨澤が興味をもった出来事を、芝居という形に昇華させていくのだろうが、せっかく「15才と30才の私」「5分間カセット」と梨澤らしい世界観を現出させていたのが、今回、ちょっと方向がずれた感じになったのは気にかかる。

     

    作劇というもの、所詮、その書き手の中にしか存在しないものである以上、そのコアな部分を目先の表現でごまかしてしまってはならないのでは?と思う。

     

     

    | 座付き作家 | 芝居の感想 | 12:09 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
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      ベスト声優賞の3人

       

      3日間にわたった今年のエムトエスが、終わった。

       

      関係者にまずは感謝を贈りたい。

       

      ゲネプロ含めて4日間、連日連夜劇場に詰めた三木プロの幸雄専務、藤田さんはさぞお疲れになったことだろう。

       

      公演を支えた照明、音響、受付をやってくれた三木プロの声優たち、お疲れ様でした。

       

       

       

      4回目を迎えたエムトエス。

       

      エムは三木プロのエム。

       

      エスはシナリオのエス。

       

      こう定義して始めたが、いまではすっかりエスは影が薄くなり、エムトエム、あるいはオールエムというべきか。

       

      来年のエスの奮闘を期待したい。

       

       

      さて、昨日、無事に楽日を迎えて、その後の恒例の打ち上げがあった。

       

      その席で影が薄くなったわれわれエスから、ベスト声優賞を今年も遅らせていただいた。

       

      これは、チケット購入者にカンパをお願いして集めた原資で、公演の中で最も輝いていた声優さんに賞を出そうというもの。

       

      各回ごとのアンケートの集計によって選出される。

       

      なんと今年は、Aチーム、Bチームともに同じ役柄がベストに選出された。

       

      子どもたちに、大人の価値観を押し付ける園の方針に立ち向かう新米幼稚園教師の奮闘ぶりを描いた作品である。

       

      Aチームの平安山彩さん、Bチームの植松優さん、おめでとう!

       

      通称・"へんにゃん"こと平安山彩(へんざんあや)さんは、毎年その涼やかな存在感が注目されてきた声優さんである。

       

      腰まであった長い髪を切り、気がつけば大人の女性らしさが加わった。

       

      アンケートでは圧倒的な票数を集めて堂々の1位である。

       

      Bチームの植松優さんは、なんとルーキーイヤーでの受賞となった。

       

      見た目もちいちゃく、まるで子どものような外見だが、堂々と主役を務めた。

       

      アンケートに名前を書く時に、やはり各作品の主役が有利なことに変わりはない。

       

      とはいえ、両チームとも同じ作品からベスト声優賞が選ばれたことは、すなわち作品の力とも言える。

       

      僕個人の感想としては、他にも輝いていた声優はおり、この結果ほど作品ごとの差はなかったと思う。

       

      ともあれ、ベスト声優賞に選ばれたことで、多少の自信はもってもいい。

       

       

       

      もう一人の特別賞・領家サイカさんは、「金曜夜の交差点」での"肉食作家"ぶりが目立った。

       

      ダブルキャストのもう一人が本番のため、昼・夜の両公演に連続して出てくれたことも加味された結果ではあるが、領家サイカというちょっと変わった名前は、来場者の頭の中に刻まれたのではないだろうか。

       

       

       

      今回、惜しくも受賞を逃したものの、「紅と白の闘争」の碓井役(スイスくん)・植木雅敏、「私色に染まる、君の色。」の篠山花梨役・脇田美帆は受賞に値する熱演ぶりだったと思う。

       

      また「ラッキーカラー」の野中るい役の円成寺舞、芦田彩子は共に透明感あふれる存在感が光ったが、特別賞受賞の領家サイカのどぎつさに食われてしまったのが惜しまれる。

       

       

       

      最後に、ストーリーテラーだが、どうしても作品ごとの合間に登場するので回数も多く、一人芝居のため、観客の記憶に残りやすい。

       

      そのため、アンケートにも名前が挙げられることが多く、まあ、得な役だと言える。

       

      昨年は保健室の先生役が強烈な印象を残したが、今年のストーリーテラーには、色になることを求めた。

       

      舞台に立つ声優たちが白シャツ黒パンツなのに対して、ストーリーテラーには毎回、色のついた衣装を着てもらい、観客にテーマである「カラー!」を印象づけることにしたのだ。

       

      初の試みとなるストーリーテラーのダブルキャスト。ご覧いただいた方には果たしてどう映っただろうか。

       

       

       

      すっかり恒例となったエムトエス朗読劇公演。

       

      春の作品募集から始まって、半年にわたって準備してきたものが、あっと言う間に終わるのも、毎年のこと。

       

      打ち上げの酒に酔いながら、関係者は、すでに来年のことを考え始めているにちがいない。

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

      | 座付き作家 | 芝居の感想 | 06:47 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
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        エムトエス2日目

         

        昨日は、幸いなことに午後から雨もやんで、「さあ、芝居見に行くか」的な天気となった。

         

        そのせいもあってか、当日券のお客さんもちらほら。

         

        思いがけない大入りとなった。

         

        全体の傾向として、いわゆるソワレは入りが思わしくないらしい。

         

        観客の年齢があがり、「明るいうちに、家に帰りたい」と思う人が多いからだ。

         

        自分の身を振り返ってみれば、確かにその通りで、夜7時スタートの芝居となると億劫だ。

         

        ましてや、映画でもレイトショーなど論外である。

         

         

         

        さてさて、2日目のエムトエス。

         

        出演者に聞くと、「初日より緊張した」という。

         

        初日は無我夢中でやったものの、2日目ともなれば「こうしてやろう」などと要らぬ欲もでてくる。

         

        そうしたちょっとした心の動きが、演技に出てくるところが、舞台の怖いところである。

         

         

        それにしても演技というもの、つくづく奥が深いと感じる。

         

        ちょっとした間、ほんの一秒たらずの差異が、観客の反応の大きな違いとなる。

         

        初日で受けた部分が、なぜかかすりもしない。

         

        「おかしいな」

         

        そう思うとますます演技は過剰になり、わざとらしくなる。

         

        もちろん回を重ねて良くなるところも沢山ある。

         

        そうしたことを積み重ねて、演技者として完成していくしかない。

         

        それは作者にとっても同じこと。

         

        脚本に駄目出しをもらうことで、欠点が見えて来ることもあるだろう。

         

        舞台は、まさに演者と作者にとって、研鑽の場所である。

         

         

         

         

        | 座付き作家 | 芝居の感想 | 07:22 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
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        【お知らせ】けんぞー武者修行#1「ノート」公演
        前作「南瓜」から1年半。今回から"けんぞー武者修行"と銘打って、役者・建蔵が可能性を広げるべく挑みます。 第一弾はなんとピアニスト糸井恵理子さんをお迎えして、フランツ・リスト他の演奏とのコラボレーション。 どんな舞台になりますか、乞ご期待。 「ノート」公演概要 2014年4月5日(土)14時/18時 開場は30分前 両国門天ホール 前売り2,800円(税込)当日3,000円(税込) 出演:建蔵 糸井恵理子 作・演出 平岩モトイ ご予約:amd.ara@ezweb.ne.jp (折り返し確認メールが行きます)
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