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    人間の土地

     

    読もうと思いながら、ついぞ読めなかった本が沢山ある。

     

    サン=テグジュペリの「人間の土地」もそうした一冊だ。

     

    旅行や出張の折に読もうと幾度となくカバンに入れたので、角がつぶれページが折れたりしている。

     

    出かける前は今度こそと思いつつ、結局、読まないまま持って帰ることを繰り返してきた。

     

     

     

     

    この本を勧めてくれたのは中学校のS教師だった。

     

    東京で学生生活を送った先生で、地元の古株の教師からつまはじきにされていた。

     

    先生の自慢は箱根でのピンク・フロイドの初来日公演を見たことだった。

     

    そのS先生が一番好きな本だと教えてくれたのがこの「人間の土地」だ。

     

    中学生には難しく、高校、大学、社会人になってからと人生のいろいろなステージで何度か読もうと思って手にとったりしたけれど、いつも10ページあたりで挫折してきたのは冒頭で書いた通り。

     

    前に別の版でも買って持っていたのだが、宮崎駿の表紙になった際に「夜間飛行」と一緒に再度購入したものらしい。

     

    読みもしない本を2冊も買っていたのだ。

     

     

     

    今回、ステイホーム中に手に取り読み始めた。

     

    最初、堀口大學訳の難解さに閉口しながらも、頑張って読み進めた。

     

    そしてわかったのは、本書が一貫したストーリーではなく、8編から構成される「人生とは何か」の論文だと言うこと。

     

    比喩や回りくどい説明が多く、それが読みにくさの一因になっている。

     

    それでも次第にもったいぶった語り口に慣れるにしたがい、だんだんと内容に入り込めて行けたのは、飛行機乗りのロマンに惹かれたからだろう。

     

    郵便飛行ルートを切り開いた先達、同僚たちへのリスペクトに始まり、彼ら人間を作り上げた”土地”こそが重要なのだと解く本書、改めて思うに中学生には幾ら何でも理解し難かっただろうということ。

     

    この年になって、ようやくS先生からの宿題をやり終えた気分だ。

     

     

     

     

     

     

     

    | 座付き作家 | 読書 | 08:08 | comments(0) | - | - |
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      2001

       

      同じ映画を何度も何度も見ることがある。

       

      よほど気に入ったか、あるいはよくわからなかったのでもう一度。

       

      僕の場合、好きで何度も繰り返し見た映画は、何と言っても「男と女」(クロード・ルルーシュ監督)。

       

      意味がわからずに見た映画といえば「ノスタルジー」(タルコフスキー監督)と「博士の異常な愛情」(キューブリック監督)だ。

       

      特に「博士の異常な愛情」は、ブログで前にも書いた通り、これまでに5回は見ているものの、いつも寝てしまって最後まで通して見たことがないと言う僕にとって「異常な一本」である。

       

      「2001年宇宙の旅」も、これまでに4回ほど見ている。

       

      どうしてもラストが理解不能で、アーサー・C・クラークの本「2001年宇宙の旅」も読んだ。

       

      でも、本と映画は別物である。

       

       

       

       

       

      本書「2001」は、題名が示す通りキューブリックの映画「2001年宇宙の旅」の製作の裏のドキュメント本である。

       

      半世紀を経てなお、名作でありつづけると同時に、理解不能な一本であり続ける本作が、どのように作られて行ったのか。

       

      前半は、キューブリック監督と、アーサー・C・クラークのやりとりが中心である。

       

      宇宙人もののSF映画を作りたかったキューブリックが、お気に入りのSF作家であるクラークに手紙を送ったことから、このプロジェクトは始まった。

       

      誰も見たことのない、大人の鑑賞に耐えるSF映画を。

       

      2人の思いは、時にすれ違い、時に一致しながら、ゆっくりと進んでいく。

       

      いわゆる原作があっての映画化ではないため、全くのゼロからのスタートであったという。

       

       

      後半は、プロジェクトがMGMの資金を得て、壮大なセットを組み、4年の歳月をかけての撮影と仕上げの様子を書いている。

       

      天才肌のキューブリック監督と、彼の下に集まった様々なスタッフ、キャストたち。

       

      試行錯誤の中から、あの猿人のシーン、そして宇宙遊泳、ジョギングなどの名シーンが生まれる。

       

      得に興味深いのは、HALに知られないようにポッドの中でボーマンたちが密会をするシーンが生まれた経緯だ。

       

      これが俳優によって発案されたというのは驚き。

       

      キューブリックは、目の前で繰り広げられるものを見抜く天才であったと本書は言う。

       

      自分であれ他人であれ、発案されたアイディアの良し悪しを見極める天才であったと。

       

      それらの結集が、あの映画となったわけだ。

       

      さらに映画のストーリーを、クラークとキューブリックがどうしたかったのか、と言う永遠の謎についても言及。

       

      ようやくこの映画の全貌を知り得たと言う感想だ。

       

       

       

       

      昨年、限定で公開されたIMAX版も見たが、本書を見てから映画を見れたならば、もう少し理解できたのにと悔やまれる。

       

      願わくば、近いうちに再度、劇場(できれば大スクリーンで)見る機会が訪れることを切に熱望している。

       

       

       

       

       

       

      | 座付き作家 | 読書 | 07:15 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
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        パク・ミンギュ「ピンポン」
        評価:
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        コメント:ピンポンで、人類の将来を決めるという、とんでもない話。最高!

        先日も書いたが、パク・ミンギュという韓国人作家が面白くてたまらない。

         

        今回、読んだのは「ピンポン」。

         

        まるで松本大洋かと思わせる題名だが、まったく(おそらく)関係ない。

         

        主人公は中学生の「釘」という名の少年。(毎日、いじめで頭を殴られるので、その様子から釘とあだ名がつけられた)。

         

        同級生の「モアイ」(顔がモアイに似ていると担任が名付けた)と一緒に、毎日ぼかすかに殴られている。

         

        この二人が、ある日、学校からほど近い原っぱで見つけたのは、一台の卓球台とソファ。

         

        なぜ、広っぱに卓球台があるのか。

         

        そこは、誰にもわからないが、「そこに卓球台があったら」二人はピンポンを始めた。

         

        もちろんラケットなど握ったことのない中学生である。でも学校で殴られているより何倍も楽しいと感じる。

         

        ある日、二人の前にフランス人の卓球専門店のオーナーが現れれて、二人にピンポンの手ほどきをし始める。

         

         

         

        こう書くと、いじめられっ子が卓球に目覚める話かと思うだろう。

         

        しかし、パク・ミンギュは、そんなありきたりの話にはしない。

         

        なんと、ある日、原っぱの卓球台の上空に空を覆い尽くす白い半透明の球体(ピンポン球である)が降りてきて、二人は人類の運命を賭けて卓球の試合に臨むことになる・・・・

         

         

         

        なんじゃ?これ?

         

        そう思うようなストーリーなのだが、これが妙に面白い。

         

        人類の滅亡を賭けて、素人に毛が生えた程度の中学生二人が卓球の試合をするとは、なんとまぁ壮大というか、哲学的というか。

         

        いっとき、現代アメリカ文学が面白いと評判になった。(村上春樹が翻訳したり紹介したことも影響した)

         

        が、もしかすると、あの時の再来で、この先、韓国文学ブームが起きるかもしれない。

         

        本気で僕はそう思っている。

         

         

        | 座付き作家 | 読書 | 06:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
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        【お知らせ】けんぞー武者修行#1「ノート」公演
        前作「南瓜」から1年半。今回から"けんぞー武者修行"と銘打って、役者・建蔵が可能性を広げるべく挑みます。 第一弾はなんとピアニスト糸井恵理子さんをお迎えして、フランツ・リスト他の演奏とのコラボレーション。 どんな舞台になりますか、乞ご期待。 「ノート」公演概要 2014年4月5日(土)14時/18時 開場は30分前 両国門天ホール 前売り2,800円(税込)当日3,000円(税込) 出演:建蔵 糸井恵理子 作・演出 平岩モトイ ご予約:amd.ara@ezweb.ne.jp (折り返し確認メールが行きます)
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