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    2001

     

    同じ映画を何度も何度も見ることがある。

     

    よほど気に入ったか、あるいはよくわからなかったのでもう一度。

     

    僕の場合、好きで何度も繰り返し見た映画は、何と言っても「男と女」(クロード・ルルーシュ監督)。

     

    意味がわからずに見た映画といえば「ノスタルジー」(タルコフスキー監督)と「博士の異常な愛情」(キューブリック監督)だ。

     

    特に「博士の異常な愛情」は、ブログで前にも書いた通り、これまでに5回は見ているものの、いつも寝てしまって最後まで通して見たことがないと言う僕にとって「異常な一本」である。

     

    「2001年宇宙の旅」も、これまでに4回ほど見ている。

     

    どうしてもラストが理解不能で、アーサー・C・クラークの本「2001年宇宙の旅」も読んだ。

     

    でも、本と映画は別物である。

     

     

     

     

     

    本書「2001」は、題名が示す通りキューブリックの映画「2001年宇宙の旅」の製作の裏のドキュメント本である。

     

    半世紀を経てなお、名作でありつづけると同時に、理解不能な一本であり続ける本作が、どのように作られて行ったのか。

     

    前半は、キューブリック監督と、アーサー・C・クラークのやりとりが中心である。

     

    宇宙人もののSF映画を作りたかったキューブリックが、お気に入りのSF作家であるクラークに手紙を送ったことから、このプロジェクトは始まった。

     

    誰も見たことのない、大人の鑑賞に耐えるSF映画を。

     

    2人の思いは、時にすれ違い、時に一致しながら、ゆっくりと進んでいく。

     

    いわゆる原作があっての映画化ではないため、全くのゼロからのスタートであったという。

     

     

    後半は、プロジェクトがMGMの資金を得て、壮大なセットを組み、4年の歳月をかけての撮影と仕上げの様子を書いている。

     

    天才肌のキューブリック監督と、彼の下に集まった様々なスタッフ、キャストたち。

     

    試行錯誤の中から、あの猿人のシーン、そして宇宙遊泳、ジョギングなどの名シーンが生まれる。

     

    得に興味深いのは、HALに知られないようにポッドの中でボーマンたちが密会をするシーンが生まれた経緯だ。

     

    これが俳優によって発案されたというのは驚き。

     

    キューブリックは、目の前で繰り広げられるものを見抜く天才であったと本書は言う。

     

    自分であれ他人であれ、発案されたアイディアの良し悪しを見極める天才であったと。

     

    それらの結集が、あの映画となったわけだ。

     

    さらに映画のストーリーを、クラークとキューブリックがどうしたかったのか、と言う永遠の謎についても言及。

     

    ようやくこの映画の全貌を知り得たと言う感想だ。

     

     

     

     

    昨年、限定で公開されたIMAX版も見たが、本書を見てから映画を見れたならば、もう少し理解できたのにと悔やまれる。

     

    願わくば、近いうちに再度、劇場(できれば大スクリーンで)見る機会が訪れることを切に熱望している。

     

     

     

     

     

     

    | 座付き作家 | 読書 | 07:15 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
    0
      パク・ミンギュ「ピンポン」
      評価:
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      ()
      コメント:ピンポンで、人類の将来を決めるという、とんでもない話。最高!

      先日も書いたが、パク・ミンギュという韓国人作家が面白くてたまらない。

       

      今回、読んだのは「ピンポン」。

       

      まるで松本大洋かと思わせる題名だが、まったく(おそらく)関係ない。

       

      主人公は中学生の「釘」という名の少年。(毎日、いじめで頭を殴られるので、その様子から釘とあだ名がつけられた)。

       

      同級生の「モアイ」(顔がモアイに似ていると担任が名付けた)と一緒に、毎日ぼかすかに殴られている。

       

      この二人が、ある日、学校からほど近い原っぱで見つけたのは、一台の卓球台とソファ。

       

      なぜ、広っぱに卓球台があるのか。

       

      そこは、誰にもわからないが、「そこに卓球台があったら」二人はピンポンを始めた。

       

      もちろんラケットなど握ったことのない中学生である。でも学校で殴られているより何倍も楽しいと感じる。

       

      ある日、二人の前にフランス人の卓球専門店のオーナーが現れれて、二人にピンポンの手ほどきをし始める。

       

       

       

      こう書くと、いじめられっ子が卓球に目覚める話かと思うだろう。

       

      しかし、パク・ミンギュは、そんなありきたりの話にはしない。

       

      なんと、ある日、原っぱの卓球台の上空に空を覆い尽くす白い半透明の球体(ピンポン球である)が降りてきて、二人は人類の運命を賭けて卓球の試合に臨むことになる・・・・

       

       

       

      なんじゃ?これ?

       

      そう思うようなストーリーなのだが、これが妙に面白い。

       

      人類の滅亡を賭けて、素人に毛が生えた程度の中学生二人が卓球の試合をするとは、なんとまぁ壮大というか、哲学的というか。

       

      いっとき、現代アメリカ文学が面白いと評判になった。(村上春樹が翻訳したり紹介したことも影響した)

       

      が、もしかすると、あの時の再来で、この先、韓国文学ブームが起きるかもしれない。

       

      本気で僕はそう思っている。

       

       

      | 座付き作家 | 読書 | 06:00 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
      0
        台湾人が村上春樹を読むように、僕らはパク・ミンギュを読まなければならない
        評価:
        パク ミンギュ
        晶文社
        ¥ 1,600
        (2017-11-13)
        コメント:「最後のファンクラブ」を「ファンクLOVE」と読んでしまったくらい、本書はノリノリである。韓国プロ野球の永遠のお荷物球団を応援する子どもたちの切なさがたまらない。

         

        冒頭から、平謝りをしなければならない。

         

        本当に申し訳ない!

         

        これまで韓国の文学というものを、見て見ぬ振りをしてきたのだった!

         

        当たり前の話だが、韓国には韓国の文化があり、韓国の人たちもアメリカのポップスを聞いたり、ハリウッドの映画を見たりしながら生きてきたのだ。

         

        なのに、ハングルという深い川が横たわっているせいで、これまで韓国の文学に全くと言っていいくらい触れてこなかったのだ。

         

        正しくは、小学生の頃に(どういう理由でか)買った「ユンボギの日記」という本を一冊だけ読んだことがあったのだが。

         

        それ以来、50年以上にわたって、韓国文学に近寄りもしなかった。

         

         

         

        一昨年、映画『サニー』を見た時、「え?韓国人もアメリカポップスを聞くのか?」とびっくりしたことがあった。

         

        (ちなみに大根仁監督の新作「サニー」は、その韓国映画のリメイクである)

         

        それと同じくらい、パク・ミンギュの「三美スーパースターズ 最後のファンクラブ」を読んで驚いた。

         

        (韓国にもプロ野球があるのは、知っていたが、2軍くらいのもんだと勝手に思っていた。それってアメリカ人が日本の野球に対して抱く感想と同じで、ひどいものである)

         

         

        本書は、韓国プロ野球の黎明期の話であるが、(なおもって、よく知らないが)三美スーパースターズという球団の話である。

         

        このスーパースターズ、仁川を本拠地とする球団らしいのだが、なんと韓国プロ野球界における万年ビリッケツの弱小球団(らしい)。

         

        ただ、いくら強かろうが弱かろうが、馴染みの球団を応援する気持ちは日本も韓国も変わらない。

         

        まるで少年時代に中日ドラゴンズのファンだった僕が、憎きジャイアンツ相手にカッカとしていたのを思い出させる。

         

         

         

         

        これは、僕の韓国文学に対する先入観(「ユンボギの日記」のイメージ)を大きく覆し、まるでラテンアメリカ文学を読んでいるような大ぶりな嘘八百の物語であった。

         

        あんな小さな国(島国日本人が言うな!)に、こんな大きな物語性が存在したとは!

         

        それで、作者のデビュー作である本書を手にとったわけだ。

         

        これまで野球ものといえば、「フィールド・オブ・ドリームス」に代表されるように、アメリカ文学一辺倒だったわけだが、アメリカ生まれのこの愛すべきスポーツが、日本で、そして韓国で根付いていった様は感慨深い。

         

         

         

        本書を読みながら、まるで台湾人が村上春樹を読むのと同じく、日本人がパク・ミンギュを読む時代が到来したことを、突然悟った次第だ。

         

        乗り遅れてはならない!

        | 座付き作家 | 読書 | 16:32 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
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        【お知らせ】けんぞー武者修行#1「ノート」公演
        前作「南瓜」から1年半。今回から"けんぞー武者修行"と銘打って、役者・建蔵が可能性を広げるべく挑みます。 第一弾はなんとピアニスト糸井恵理子さんをお迎えして、フランツ・リスト他の演奏とのコラボレーション。 どんな舞台になりますか、乞ご期待。 「ノート」公演概要 2014年4月5日(土)14時/18時 開場は30分前 両国門天ホール 前売り2,800円(税込)当日3,000円(税込) 出演:建蔵 糸井恵理子 作・演出 平岩モトイ ご予約:amd.ara@ezweb.ne.jp (折り返し確認メールが行きます)
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