2019.02.02 Saturday
七つの会議
池井戸潤作品の最大の功績は、映画にサラリーマンものを復活させてくれたと言える。
昨日初日を迎えた「七つの会議」。
これまで放送された池井戸ドラマでおなじみのキャストが勢ぞろいした豪華版だ。
(ちょい出しの人も含めてではあるが)
本作で取り上げるのは「ネジ」。
普通だったら地味すぎる小物を使って、大企業の隠蔽を暴くというのが池井戸作品の王道だ。
たったネジ一本で、と思うが、それをエンターテインメントまで高めていく様はお見事。
折しも耐震ゴム、アルミ素材など我が国の基幹産業と言われた大企業での品質偽装、隠蔽が明るみに出たこともあって、本作のリアリティーは高まる。
そうした企業物語を勧善懲悪としてわかりやすく見せてくれるところが池井戸作品。
そこで、今回の正義漢は野村萬斎を起用。
アクの強いキャラだけに、当初、どうかな?と思ったが、まあ、映画だし、これくらい大げさにやってもらうのもありだろう。
特筆すべきは彼の身体性である。
ちょっとした手の上げ下げの一つ一つが、実に優雅でかっこいい。
狂言師としての所作がいたるところに表れている。
まるでフィギュアスケートの羽生結弦の演技を見ているようで、ついつい見とれてしまう。
こういうところを、他の役者さんもぜひ見習うべきだろう。
ただ、優雅さのために「居眠り八角」というキャラクターが嘘っぽくなってしまったきらいはある。
見終わってしまえば、やっぱりねというストーリーではあるが、悪者を徹底的に悪く描くことで、誰でも共感できるようにしてあるところが面白い。
映画の構造としては、アメコミ、スーパーヒーローものとそっくりだと思った。
ただし、こちらのヒーローが着用するのはサラリーマンのスーツである。