自粛疲れ?
確かに、そんな気分にもなろうというものだ。
せっかく桜が満開だというのに花見はできないし、追い打ちをかけるように寒さがぶり返したと思ったら雨に強風。
桜をこれでもかと痛めつけるような状況に、もし桜が拗ねて来年咲かなくなったらどうするつもりだ?
今週末も外出自粛が予定されているが、そんな間隙を縫って映画館へ。
あまり深刻な映画は見たくないので、一番頭を使わなくて良さそうな本作をチョイス!
「ロミオとジュリエット」を父と娘に置き換えたといった趣向。
着想は悪くない。
しかも超豪華キャストが出るわ出るわ、三谷幸喜作品かと思うほどであるが、それもそのはず脚本を担当したのが電通の澤本さんだ。
「いかに天才CMプランナーだとはいえ、映画の脚本をなめてもらっては困りますよ」と、偉そうに言うつもりだったのだ。
見る前までは……
ところが……、「あれ?めっちゃシナリオの勉強してはるわー!」
シナリオゼミに先生としての評価は「100点!」。
まるでガンツ先生のような言い方になってしまったが、実に細かく伏線を回収してあって非の付け所がない!
では、映画としてどうなのか?
こちらは残念ながら辛い点になるのだが、良くも悪くも「CM作家が作ったギャグ映画」の域を出ていないように思う。
私が一番残念に感じたのは、そもそもの設定ミスである。
広瀬すず演じる一人娘が、徹底的に父親嫌いというところであるが、そんなに父親嫌いだったら別居するだろうし、そもそも口もきかないと思う。
中学生ならまだしも、父親と自分用に2台の洗濯機があったり、家の中を仕切り線で区切って「ここから入ってくるな」的な表現は面白くはあるけれど、いかにもCM的なギミックだ。
広瀬すずがいっそ小学生とか中学生ならまだわかるが、そうなるとキャストミスということになるだろう。
いい年して、父親嫌いを叫び続けている広瀬すずが痛すぎる。
そのために最初から「父親嫌いと口では言っている娘」が「最後には父親への愛に気づく」ことがモロバレしてしまっており、映画は冒頭のわずか5分でラストシーンを提示してネタバレしてしまっている。
そのために「どうなるんだろう?」というドキドキハラハラもなく、以下2時間は退屈な消化試合と化してしまった。
これほどチャラくて浅いドラマなら、危険を冒してまで映画館に行かなくてもスマホで見れば十分だ。
新型コロナウィルスで死者が増えてくると、題名が題名だけに上映自粛というつまらない展開も見え隠れする。