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    ラフに親近感、「ディオールと私」


    映画「ディオールと私」をBunkamuraル・シネマに見に行った。事前にチェックしたところ連日満席だというので焦って、朝10時のデパート開館時間にかけつけた。

    「映画館の方はこちらへお並びください」と、すでに長蛇の列が出来ている。僕はデパートの開店時が苦手だ。一斉にお辞儀をされるのが気恥ずかしい。

    店員にお時儀されて入った10時30分の初回は8割の入り。レディースデイでもないのに客席のほとんどが女性客というのも、いかにもここル・シネマらしい。困ったことにお客は見るからにお上品な奥様方なのに、あっちの席でカサコソ、こっちの席でガサガサという音が絶えない。のど飴かキャンディーか薬かわからないが、ご本人が音を立てないようにやればやるほど音が出る。いつまでもガサガサ音が止まない。個包装にしてくれるのは理屈にあっていると思いつつも、メーカーには音が出ない個包装を採用願いたい。こ

    さて、この映画であるが、ご存知クリスチャン・ディオールのメゾンに新しいデザイナーを迎えて、新作コレクションまでを追ったドキュメンタリーだ。ディオールといえば買ったことはなくてもロゴぐらいは誰もが知っている有名ブランド。シャネルもディオールもサンローランも、どんなに有名であろうとも時が経てば創業者は亡くなり、ブランドを継続させるためには新しい血を入れるしかない。

    ところがディオールの場合は、選んだデザイナーに問題があった。既製服しかデザインしたことのない、しかもメンズで名を馳せたラフ・シモンズにオートクチュールをまかせようというのだ。当然、ベテランのお針子たちは当惑する。オートクチュールをやったことのないデザイナーで、本当に大丈夫なの?

    オートクチュールはすべて手仕事だ。しかも既製服とちがって手の込んだ仕立てが求められる。

    本映画は、そんなお針子たちの戸惑いからスタートし、途中、(劇映画かと思うばかりに)次々とアクシデントが起こり、コレクション当日になってもドレスが出来上がらない。しかもラフ・シモンズは大のマスコミ嫌いときており、ショーの後でカメラの放列にさらされるのは絶対嫌だとごねる。これは、いわばオートクチュールの有名老舗メゾンを舞台にしたドタバタ劇なのだ。

    普段目にしないコレクションの舞台裏には、面白いエピソードがごろごろ転がっている。たとえばモデルのフィッティングにドレスが一着も届かないことや、突然黒のジャケットが欲しくなるラフ・シモンズに、その場にあった白のジャケットを黒スプレーで黒くするシーンなど、「え?まじ?」という出来事が次々起こる。

    ところが相次ぐトラブルにも、スタッフがうろたえず、なんとかなるわとばかりに落ち着いているところがさすが老舗!本編中にも出てくるが、こうしたメゾンは顧客によって成り立っているわけで、毎シーズン5,000万円も注文してくれるお得意様に呼ばれれば、コレクション直前の大事な時でも、職長はNYへ出張する。逆に、それを知って怒りくるうラフ・シモンズだが、スタッフたちは「だって仕方ないじゃない」とばかりに冷静なのだ。つまりは「顧客至上主義」。これぞ有名ブランドのポリシーというやつだろう。いくらなんだかんだ言ったところで、お客が買ってくれなければどうしようもない。当然、ラフ・シモンズとディオールスタッフの間で対立が起こるかと思えば、なんとラフ・シモンズという人はゲイらしい気遣いを随所に見せて、徹夜続きのスタッフに花を贈ったり、シャンパンパーティーを開いたりと気遣い上手なのだ。

    本作で初めてラフ・シモンズの人となりを知ったわけだが、知り合いにいそうなお兄ちゃんづら。はっきり言ってかっこよくはない。着ている洋服も垢抜けない。でも、そこがこの映画を人間くさいものにしているし、本作の成功の要因となっている。

    この映画「ディオールと私」は、結局のところ老舗メゾンの復活PR映画なのだが、シャネルやサンローランの映画が故人の偉大さを描いたのに対して、ラフ・シモンズという田舎のお兄ちゃんに老舗ブランドを託したところにユニークネスがあって好感が持てると思った。もちろんディオールのショップを映画を見た足で覗いてみる人もいるに違いない。
     
    | 座付き作家 | 映画の感想 | 05:50 | comments(1) | trackbacks(0) | - |
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      何を仰っているんでしょう、彼は上等な服を着ています。全身トータルで考え、上質でありながらむしろ目立たない服は、最高のお洒落です。見る人が見れば、わかるのですがね。
      | ラフ・シモンズ | 2015/03/30 4:55 PM |









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