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    モナドの領域
    評価:
    筒井 康隆
    新潮社
    ¥ 1,512
    (2015-12-03)
    コメント:映画化希望!と買いたら顰蹙ものだろうか。「時をかける少女」と対をなす作品であることは間違いないと思うのだが。

    筒井康隆と聞いて、即座にSF作家と答える人がどれほどいるのだろう。

     

    僕にとって筒井康隆は、SFという世界へ導いてくれた道標であり、まさに青春の書。

     

    中学時代、「おれは少し焦っていた」で始まる「霊長類南へ」を授業中に回し読みしていて、ヒゲゴジラというあだ名の教師に見つかり、「声を出して読んでみろ」と言われて、中学生にはどぎつい性描写を読まされた記憶がある。

     

    今でいう立派なセクハラだが、当時、ニキビ面の14歳には屈辱的な出来事だった。

     

    それ以来、プルシャンブルーという色が妙に心に残ってしまっているが、そんなことはどうでもいい。

     

    筒井康隆最後の小説?との惹句で登場したのが、「モナドの領域」である。

     

     

     

    物語は、とあるパン屋のバイトの美大生が人間の腕そっくりのバゲットを作ったところ大評判となったところから始まり、そこに河原でみつかった女性のバラバラ死体の腕が重なり、猟奇殺人事件かと思いきや、なぜか突然現れるGODがこの世の成り立ちを語るというもの。

     

    前半のバラバラ死体とパン屋のくだりが(多少アナクロであるものの)読みやすいのに対して、一転後半は哲学書を読んでいるような難解な単語のオンパレードとなる。

     

    それでも先を読み進められるのは、テレビの生番組出演のシーンなど、いわゆる通俗的な場面展開のおかげであろう。

     

    このあたり、俳優でもある筒井氏ならではの経験に基づく設定だと思われるが、非常に俗っぽく、おかげでGODの存在が身近に感じられたりする。

     

     

     

    このGOD。いわゆる絶対者であり、宇宙にあまねく偏在する知性であり、すべてのことを知っており、むしろすべては彼GODが作ったと主張する。

     

    そして、最後に多元宇宙のほころびを修繕しおわって、GODは消え、すべての人の記憶も消される。

     

     

    あれ?これって、どこかで読んだことがある・・・

     

    そう「時をかける少女」の未来人ケン・ソゴルそっくりじゃないか。

     

    読みながらそんなことを思っていたら、作者自らがそのことに触れる箇所もあって笑ってしまった。

     

     

     

    「時をかける少女」は、当初ジュブナイル小説として発表されたが、NHK連続ドラマ化、その後、原田知世主演で実写映画化。

     

    さらに細田守監督によってアニメ化されるなど、何度もなんども繰り返し映像化されてきた。

     

    筒井康隆ご本人は、「俺の代表作は時かけなんかじゃないぞ」とおっしゃるかもしれないが、なぜかこの甘酸っぱい青春SFほど愛された作品も少ないのである。(もちろん他にも「七瀬ふたたび」「富豪刑事」他、たくさん映像化されている)

     

    その意味で、本作が「時をかける少女」と長い年月を経て、対となっていることに無上の喜びを感じる。

     

    となると、本作も映像化の可能性があるということか?

     

    もっとも著者は、あえて映像化できないように書いたなどとおっしゃるかもしれないが。

     

     

     

     

     

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