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    1917

     

    先日の米アカデミー賞®でポン・ジュノの「パラサイト」に破れた、サム・メンデスの「1917」である。

     

    前評判では、「2時間ワンカット」だの「ものすごい没入感」だの騒がれていたのだが、果たしてどうなのか。

     

     

     

    物語は、伝令役を命令された若い二人の兵士が、撤退したドイツ軍の占領地域をさまよいながら、無事に味方の最前線まで行けるのかというもの。

     

    当然、待ち伏せする敵兵の急襲あり、トラップ爆弾あり、と簡単に進めさせてはくれない。

     

    二人の兵士が乗り越えて行くのは、瓦礫や鉄条網だけではない。

     

    死んだ兵士やネズミがたかる腐った肉体。

     

    そうした戦争の産物をを掻き分け、何が何でも乗り越えていかなければならないのである。

     

    前半、カメラは二人の兵士の前となり後となり、ワンカットで二人の行軍を描写する。

     

    これが「没入感」となるカメラワークである。

     

    その様は、僕が大好きでよく見ているNHKの海外マラソンレースのドキュメンタリー番組そっくりだ。

     

    山を登り、崖を駆け下りるランナーたちの背中にピッタリとついて走るカメラあり、待ち受けて前方からバック走しながら写すカメラあり。よくぞこんなところでカメラマンが撮影しているものだ!

     

    それを戦場でやっているのだが、前評判ほどワクワクドキドキしないのは、すでに見慣れたカメラワークだからだろう。

     

    撮影の難度でいえば、山岳レースの方が断然難しい。

     

    さらに、この手の映像の既視感は何だろうと探れば、ゲームに行き着く。

     

    確かに実写映画でやりきるのは大変だろうけれど、ゲームではこんなのは当たり前なのである。

     

     

     

    次に話題の2時間ワンカットであるが、実際には途中で何箇所か編集ポイントがある。

     

    もっとも兵士の過酷な1日を2時間ワンカットで写すのは物理的に無理だ。

     

    昼間から夜になり、朝になる中、「なぁんだ、ワンカットじゃないんだ」と思ったら、ますます映画から気持ちが離れてしまった。

     

    ただ本作が観客を惹きつける部分は、むしろそうしたカメラワークではなく兵士の使命感の方だ。

     

    何がなんでも最前線へと彼らを駆り立てるもの。

     

    一つは、伝令に失敗すれば敵の罠にかかって1600人の仲間を失うという恐怖感。そしてもう一つが仲間の兄の元にいかなければというもの。

     

    これは太宰治「走れメロス」と比較がされると思われるが、この上等兵を前へ前へと突き動かすのはまさにその思いなのだ。

     

    逆に言えば、ここのドラマをもっと強く描いたならば、何もワンカットのカメラワークにこだわる必要もなかったのではないか。

     

    本作は監督のサム・メンデスのお祖父さんから聞いた実話だというが、電話もネットもある今からすれば、なんとも古めかしい話である。

     

    唯一、見終わって言えるのは、「パラサイト」の方が作品賞を取ったのに異論はないということである。

     

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