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    映画「君と歩く世界」
     

    マリオン・コティヤールに魅かれて、マリオンのピカ1に『君と歩く世界』を見に行った。

    両足を失った女性(マリオン・コティアール)の話だと聞いて、興味をもっていた映画だ。


    ストーリーは、
    ーーー南仏の町。その町のスーパーで働く姉を頼って子連れの男が流れ着いた。やがて男は警備員の職を見つける。ある夜、クラブで乱闘騒ぎがあり、警備員の男は怪我をした肌を露にした若い女性を自宅まで連れて帰ったが、女の部屋には彼氏がいたため、思惑が外れた男は未練がましく電話番号を残して帰らざるを得なかった。
     ある日、マリンパークでのシャチのショーの最中に起こった事故で、1人の調教師が両足を切断する事故が発生する。両足の膝から下を失ったシャチ調教師こそ、クラブで怪我をした女性だった。自暴自棄になった彼女は、部屋に残されていた電話番号にかけてみる。警備員の男と、両足を失った女が再会した。部屋にこもりっぱなしの女に、外へ出るようにしむける男。女は海を目にし、忘れていた水の感触を思い出す。そこから女の魂の再生が始まった。
     両足を失ってもなお女性として生きる彼女。警備員の男はやがて闇の格闘試合に生き甲斐を見つけて行く・・・・


    マリオン・コティヤールは両足を切断した女性を演じているのだが、この映画は足(身体の一部)を欠損することの意味を訴えかけてくる。美人で、それまで観客の視線を浴びることが快感だった彼女にとって、両足を失うことは「障碍者になる事」ではなく、「女性としての死」を意味した。

    そのせいで、傷が治り、車いすの生活になった時、彼女は身体を洗うこと、髪を洗うことすら放棄してしまう。生きるために必要な最低限の食事を口に入れるだけ。生きる人形である。カーテンを引いたまま部屋に閉じこもる毎日。かつての同僚や友人たちが入れ替わり訪れるが、心にも厚いカーテンを引いてしまった彼女には届かない。

    そんな彼女ステファニー(マリオン・コティヤール)が、唯一頼ったのが警備員が書き残していった電話番号なのだが、一度会ったきりのただのクラブの警備員。名前も知らない。好きでもない。しかも自宅まで送ってもらう車内で、ミニスカートからむき出しの彼女の足をじろじろ見て「売女のようだ」と云うような粗野な男である。なぜ、よりによってそんな男に電話をかけたのか?

    この映画は、そうした問いかけに、「肉体の魅力」で答えを出す。名前も知らない肉体だけの男に電話をかけることは、彼女ステファニーが意識していたかどうかはともかく、「女性として一度死んだ肉体」が、異性の肉体を求める行為であり、その後、緩衝地帯としての南仏の海を泳ぐことを挟み込むことで、次第に肉体の喜びを取り戻して行く。

    決定打となるのが男とのセックスで、事故後「機能しているかどうかわからない」という不安が払拭されたことで、再び「女性として生きる」ことへと向かい始める。セックスを重ねることで、どんどん自信を取り戻す彼女は、やがて人前で義足を露にすることを恥じなくなっていき、「人間として生きる」ことの自信を取り戻して行く。

    日本の映画ではあまり語られないタイプのアプローチだが、人間が生きるための本質を実に見事に映像化している作品だと思った。ただし、この後、物語はあらぬ方向へと向かい、女と男の話から別の結末を迎えるあたりに、「あれ?」と思ったことは否定できなかった。

    全国松竹系でロードショー。



    | 座付き作家 | 雑記 | 08:35 | comments(0) | trackbacks(1) | - |
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