2014.02.25 Tuesday
けんぞー武者修行#1「ノート」
建蔵さんの新作舞台「NOTE」のDMが上がって来た。今回のテーマである「NOTE」をモチーフにちょっぴりミステリアスにデザインしてみたもの。
けんぞーしゅーぞー「南瓜」から1年半。この間、幾度となく建蔵さんと会って話をしてきた。毎回「次をやろう」ということしか決まらず、具体的に何をやるかが定まらない。あるとき僕が「何をやるかじゃなくて、何かをやることが重要だ」と、スケジュールを決めてしまった。それが4月5日(土)。その時はまだ半年も先のことと思っていたが、気がつけばあと一ヶ月半に迫った。
今回の趣向としては、"けんぞーしゅーぞー"を一旦離れて建蔵さんの単独公演。一人芝居で1時間というのもつらいので、ピアニストさんとのコラボにしてみた。ピアノと一人芝居と聞くと、なんとなく勝手なイメージが広がりそうだが、恐らく既成のイメージとは大きく異なる舞台になるんじゃないかと思う。伴奏ではなく、一人芝居とピアノが五分と五分に渡り合うものになりそうだからだ。
そのピアニストについて紹介しておこう。糸井恵理子さん。彼女は2才からピアノを始め、コンクールで見いだされてNYジュリアード音楽院で勉強した、いわば天才ピアニスト。長くNYで活動していたのだが、出産を機に日本へ戻ってきた。現在はピアノ教師のかたわら各国大使館での演奏など、幅広い演奏活動を続けている方だ。NY帰りのピアニストと聞くと、なんだかクラシックバリバリか、またはジャズピアノというイメージだが、糸井さんは恐らくどのカテゴリーにもハマらない。強いて言うならば自由形だ。
僕は糸井さんと取材を通して知り合った。彼女のピアノ教室へお話を伺いに行った際、まず最初に言われたのが「この部屋の中では何をやってもいいの。それがルール」。
へ?
そこは6畳ほどの防音室の中で、グランドピアノがどーんと部屋の半分を占める。糸井さんと僕は、それから1時間余、並んで壁によっかり絨毯にぺたりと腰を下ろして、あれやこれ、ピアノのことからクラシック、オペラ、NYのことなどお喋りした。糸井さんは話されることがまた自由型。ポンポン次から次へと話が飛ぶのだが、共通しているのが「生きてるって素晴しい」というポジティブさに貫かれていること。
「面白い人だなぁ」。そう思って、取材後もピアノレッスンの写真を撮りに伺ったりするうちに、今回のコラボ企画がぽんと浮かんだ。「そうだ、建蔵さんの芝居と糸井さんのピアノをコラボさせたらどうなるんだろう?」
そう思ってオファーを出したところ、即OK!次に演奏曲目の相談をしに行ったところ、なんと彼女の18番はリストだという。村上春樹「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」でリストにハマっていた僕が今度は飛びついた。「それだ!リストの巡礼の年を演奏しましょう!」
こうして決まったのが「NOTE」。リストと建蔵さん?似合わねえなぁ。恐らくこのブログを読んでいる人のすべてが、そう思っていることだろう。実は僕にもよくわからないのだから無理もないし、建蔵さんも内心びくびくしているんじゃないだろうか?
でも、これだけは断言できる。この組み合わせ、ものすごく面白い舞台になる、と。(続く)