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    けんぞー武者修行#1「ノート」糸井恵理子さん

    さて、門天ホールといえばスタンウェイである。門仲にある時から、あのグランドピアノはある意味で"邪魔"だったが、それを逆手にとって堂々と弾いてしまおうというのが前作「南瓜」だった。あの時は三田村さんと建蔵さんが二人並んでスタンウェイを弾く絵からすべてのストーリーを作った。まったくピアノを弾いたことがないお二人だからこそ生きるアイディアだったのだが、今回の糸井恵理子さんはバリバリのピアニストである。スタンウェイもド素人に触られるのとちがって、さぞかし喜ぶに違いない。

    門天ホールの黒崎さんからピアノ調律の相談があった。聞けば調律師さんに来てもらって最低2時間かかるという。

    ピアノ調律。ああ、なんと甘美な響きだろう。ピアノを弾いたことがない僕にとって、調律は夢のまた夢。白衣を着た調律師さんがハンマーを持って一本一本弦の調子を合わせていく様は映画では見た事があっても、なかなかお目にかかれない光景だ。88本の弦をどうやって調律するのだろうか、妙に神秘的な調律の雰囲気に萌える。

    ところが萌えている暇などなくて、当日朝から調律が入るということは、場当たりや通し稽古ができないということである。幸い照明については先日の「ホテル・リバーサイド」でなんとなくわかっているものの、心配なのは糸井さんである。初めての劇場に初めてのピアノ。いくらピアニストだからといって、ピアノ一台一台に癖もあるだろうし、パッと行って初めてのピアノでさっと演奏するという訳にはいかないに違いない。そこで、さっそく糸井さんにお尋ねしてみた。

    「大丈夫よー。だってピアニストはプロですもの。そんなことはザラにあるから大丈夫」

    え?そうなんですか?前にホロビッツだかなんだかの来日コンサートで、鍵盤を全部外して薄紙を一枚加えたり取ったりしてはタッチの具合をものすごく細かく調整しているのを見ましたけど。

    「私たちは急に呼ばれて行って、どんなコンディションでもそれなりに弾きます。それがプロというものでしょ」

    すごいねー。糸井さん、しびれます、そのプロ根性。ところで演奏曲ですが、どれくらい前に決まっていれば、というか、どれくらい練習期間が必要ですか?

    「確かに弾いたことがない曲だと練習しないといけないけど、譜面があれば前日。最低7時間前に決まってればオッケーよ」

    まじですか?!そんなんで弾けるものなんですか?

    「あのね、どんなコンサートでもスタンバイピアニストというシステムがあって、急な病気や事故で予定していたピアニストが弾けない時にはすぐ代わりのピアニストが呼ばれるわけ。大抵わかるのは前日か下手すると当日でしょ?それでもコンサートに穴をあけないようにしないといけないの。また観客もわかっていて、ほお、どれくらいのものか確かめてやるみたいな感じで聴くの、それでも控えのピアニストにとっては大チャンスだから、すごい!って言わせるような演奏をしたいわけよね。みんなそうやってチャンスを掴んでいくわけよ」

    なるほど。そういう事なんですね。それにしてもコンサートピアニストって凄い世界ですね。

    こんな風に糸井さんの話には、いつも驚かされるのだが、こんな話を聞かされるとますますピアニストという人種を尊敬せざるを得ない。そのためには毎日黙々と練習を重ねているのだろうが、あっけらかんとしてすべての言葉に♬マークがついているような糸井さんの姿がイチローの姿と重なって見えた。

    今回、リストを弾くということまでは決まっているのだが、さすがに公演ひと月前が迫り、そろそろ曲目を決めないといけないなぁ。それにしてもリストって超絶技巧ありロマンスありで凄い凄い。(続く)
    | 座付き作家 | NOTE | 09:45 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
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      【お知らせ】けんぞー武者修行#1「ノート」公演
      前作「南瓜」から1年半。今回から"けんぞー武者修行"と銘打って、役者・建蔵が可能性を広げるべく挑みます。 第一弾はなんとピアニスト糸井恵理子さんをお迎えして、フランツ・リスト他の演奏とのコラボレーション。 どんな舞台になりますか、乞ご期待。 「ノート」公演概要 2014年4月5日(土)14時/18時 開場は30分前 両国門天ホール 前売り2,800円(税込)当日3,000円(税込) 出演:建蔵 糸井恵理子 作・演出 平岩モトイ ご予約:amd.ara@ezweb.ne.jp (折り返し確認メールが行きます)
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