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    小川洋子で道草する
    評価:
    小川 洋子
    講談社
    ¥ 1,575
    (2012-06-20)
    コメント:小川洋子得意の人が目をつけないものシリーズ。今回は舞台をアーケードに選び、義眼屋、レース屋などいつもの小川洋子ワールドを展開している。

    けんぞー武者修行「NOTE」の追い込みの真っ最中である。連日8時間もパソコンに向かっている。腰は痛いし、途中気をまぎらせるためにお茶を飲んだりチョコレートを摘んだり、口が甘くなると今度はしょっぱいお煎餅を齧ったり。一日口を動かしているせいかお腹がたるんできた気がする。それを解消しようとランニングの距離を伸ばしたことで、次は疲労がたまって眠くなる。執筆というのは本当に重労働だ。

    今週ともかく書き上げてしまおうと月曜から家に籠っているのだが、そんな時に限って仕事の電話がかかってくるから不思議だ。まあ、お金を稼がなくてはならないことに変わりはないので、喜んで引き受けさせていただいたが、今度は仕事のための脚本を読む羽目になり肝心の戯曲を書き終えることができていない。それでも「ほぼ」書き終えているので、建蔵さん、安心してください。今月中には送ります。

    ところで。僕は子どもの頃から一つのことに集中できない悪い癖がある。よそ見体質というか、わかっていてもつい脇の事をしてしまう。それでも若い時は脳や体力に余力があったので、本筋の事をやりながら脇の事もやるという同時並行作業が出来たのだけれど、最近、脇の事をやり始めると本業が止まってしまうように思う。

    長年染み付いた体質というのは簡単に改善できないもので、そんな事は100%分かっているにも拘らず、つい横道へ逸れてしまう。もしかしたらわざとやっているのではないかと思うくらいである。昨日も「NOTE」の後半を書きながら、つい小川洋子に手を伸ばしてしまった。「最果てアーケード」。マンガの原作として書かれたらしいが、これがもろ小川洋子である。

    小川洋子といえば、何かを欠損する話、薄暗い理科実験室にありそうなモノの話が多いが、これは客の寄り付かないアーケードが舞台。と言ってもニュースに登場するシャッター街の話ではなく、どこの街にもありそうな、いや昔はあったんじゃないかなと思わせるアーケードの話だ。一言で言うなら「ひっそりとしたアーケード」。

    語り部である「私」は、アーケードの大家さんの一人娘。アーケードにそこだけぽっかり空いた中庭で犬と一緒にぼんやり過ごすことが日課だ。そしてこのアーケードには一種変わったお店が入居している。レース屋さん、義眼屋さん、輪っか屋(ドーナッツ)さん、紙屋さん、ドアノブ屋さん、勲章店などである。どれも繁盛とはほど遠いうらびれた商いだが、それなりにファンがついているようでなんとか潰れずに営業を続けている。中庭の横には倉庫を改造した図書室があって、そこには父親から送られた児童書とセールスマンから買った百科事典が収蔵されている。私はそこで日がな読書をするのが好きな少女だった。ある日、映画館の火事が起こり、父親は焼死した。以来、「私」がアーケードの大家さん兼配達係として客が買った商品を届けている。そんな奇妙な物語だ。

    前に横浜関内を調べて回ったことがあった。その時に見つけた昔ながらのアーケードがあって、揚げドーナッツやさんや缶詰ばかり置いている店や魚屋さん、八百屋さんなどが並んだアーケードの出口には演芸小屋があり、ドサ回りの旅の一座が上りを掲げていた。その時のアーケードの印象にとても似ていると思う。

    僕はその印象をもとに淋しい探偵の物語を書いたが、さすが小川洋子は違う。義眼屋さんやレース屋さんを入店させることで、小川洋子商店街を作り上げてしまっている。

    最初はちょっと箸休めのつもりでページを開いたものの、すぐにアーケードに彷徨いこんでしまい、結局、最後まで読んでしまって、さっそく感想を書いている次第。

    どうにも僕にはひとつのことに集中する能力が欠けているようだ。

     
    | 座付き作家 | 読書 | 10:09 | comments(0) | trackbacks(0) | - |
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      【お知らせ】けんぞー武者修行#1「ノート」公演
      前作「南瓜」から1年半。今回から"けんぞー武者修行"と銘打って、役者・建蔵が可能性を広げるべく挑みます。 第一弾はなんとピアニスト糸井恵理子さんをお迎えして、フランツ・リスト他の演奏とのコラボレーション。 どんな舞台になりますか、乞ご期待。 「ノート」公演概要 2014年4月5日(土)14時/18時 開場は30分前 両国門天ホール 前売り2,800円(税込)当日3,000円(税込) 出演:建蔵 糸井恵理子 作・演出 平岩モトイ ご予約:amd.ara@ezweb.ne.jp (折り返し確認メールが行きます)
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